2017年8月4日金曜日

Good Evening Tokyo/矢野顕子


1988年の矢野顕子のライブ・アルバム。
坂本龍一、高橋幸宏、小原礼らをバックに、ご機嫌なバンドサウンドによるライブ演奏が堪能できる。
最近では故レイ・ハラカミや上原ひろみ等とのコラボで、それはそれで素晴らしい歌と演奏を聴かせてくれるアッコちゃん。
それらを肯定しつつも、この当時の気心知れた仲間と作り上げる緊張感ありながらもご機嫌な生のバンド・サウンドを纏め上げるアッコちゃんが妙に懐かしい。
ラストはゲストに故大村憲司を迎えての圧巻の「また会おね」。
中盤まで控えめで後半(最後のサビからラスト前まで)に向けて疾走する感じが「これがライブなんや!」と実感させてくれて 素晴らしい!


2017年3月13日月曜日

Noah's Ark/ぼくのりりっくなぼうよみ


棒読み?いやいやご謙遜を、と思わず唸ってしまう若手ラッパーのアルバム。
90年代UKソウルを髣髴させるバックトラック。そして、棒読みには程遠い上手すぎる歌とラップ。三拍子のストリングスをバックに従えたクラシックなバックトラックも使いこなしている。曲調としてはジャミロクワイと椎名林檎が合体した感じ(あくまで個人の感想です)。
「ノアの箱舟」とは大きく出たなぁ。と感じさせながらも、そのタイトルに恥じない世界観。
新しい時代を感じさせながら懐かしい。
若手天晴れ!!

2017年2月28日火曜日

Smoochy/坂本龍一


時代の要請に対応すべく、とにかくポップなものを作りたいと懇願していた教授が、1995年に出した、世間一般的には残念ながら認知度の低いアルバム。1995といえば、ウインドウズ’95が世に出た年であり、小室ファミリー全盛期。教授的にも苦悩と試行錯誤があったのであろう。
各曲、ヨーロピアンな(というより、ピアソラに代表される中南米のテイスト溢れる、よって時にピエール・バルー的でもある)コード進行とメロディは全開で、確かにポップを意識したチャカポコしたリズムがなければ非常に聴き応えある内容。
教授自ら「自分には向いてない」と言わしめたボーカル・パートが多いのも特徴。
大貫妙子とのアルバム「うたう」でも取り上げられている「美貌の青空」の原型が教授の歌声で聴けるだけでも価値がある。
自分は好きだな。


2017年2月6日月曜日

Milano Calibro 9 / Osanna


懐かしさ半分、怖いもの見たさ半分で手に入れたのは、イタリアン・プログレシーンを牽引したキーマン、映画音楽家ルイス・エンリケ・バカロフとオザンナの競作による1972年のアルバム。

良い!良いぞ!
何か安心する、この泥臭さ、暑苦しさ。
狂気のサックスにフルート。重くドタドタしたリズム隊。サイケな逆回転テープ。不釣合いに美しい、哀愁のストリングス。ムーグ・シンセに過剰に絡むアナログ・エコーのノイズ交じりの残響。
色んな要素がひしめき合ってひとつの世界観を作っている。
B級ギャング映画のサントラで何が悪い!
紙ジャケ仕様のこのCD、ひとつ苦言をするなら、恐らくLP版からの忠実な縮小コピーのためか、ジャケットの内側の文字が小さすぎて、壊滅的に読めない。

2016年12月5日月曜日

Slogan/オレスカバンド

slogan

オレスカバンド、6年ぶりの新作アルバムはサウンド面でも、個々のメンバーの技量も格段に底上げされたかっこいい仕上がり。若干のメンバーチェンジを経ているようだ。
このバンドを知った当時は、大和川沿いの月洲中学出身の女の子たちというだけで贔屓目に見ていたのだけど、ここまで大化けするとは思ってもみなかった。
当時はスカを中心にすえて、ギターはラウドパンクのスタイル。チャット・モンチーまがいのボーカルをのせていくスタイルだったのが、より柔軟にブラス・ロックしていて、ボーカルのiCasはいつの間にかきれいな裏声やチリメン・ビブラートを習得。歌ものとしての完成度を格段に上げている。
インタールード等のインスト曲を含めて捨て駒無しで迫る渾身の一作!

2016年11月14日月曜日

The Mad Hatter/Chick Corea


1978年のチック・コリアの作品。カテゴリーとしてはフュージョンに分類される。
リターン・トゥ・フォーエヴァーはそれなりに好きで聴いてはいたけど、プログレ・ファンの立場からか「これ以上はないだろうな」という稚拙な先入観からか、チック・コリアのその他の曲をあまり聴いては来なかった。・・・・・・それが間違いであったことを思い知らされたのがこのアルバム、The Mad Hatterである。
狂った帽子屋は不思議の国のアリスではあまりにも有名なキャラクターで、カリスマ・レーベルのロゴとして君臨しプログレファンにも非常になじみの深いおっさんであった。
そのおっさんの名を冠しアルバムジャケットにチック・コリア本人がコスプレをしてまで挑んだ本作は紛れもなくフュージョン・ミュージックの頂点だと思うし、どのジャンルのファンが聴いても美しい、わくわくすると感じるであろうボーダーレスな普遍性に満ちているアルバムだと思う。
このアルバム、チック・コリアにはファンタジー三部作というのがあって(今更知る私)、その3枚目に位置するらしい。
ひねくれたコードと半音多用のフレーズが気持ちよく絡む幻想的な曲を主軸にアルバムは進行していく。
途切れることなくスリリングに展開する黎明期のシンセサイザー、ザクザクのストリングス・アンサンブルに切れのよいブラス。幽玄な女性ボーカルにフルート。そして主役は文句なしのピアノ。
たっぷり時間をとって通しで聴くことをお勧めする一枚!!

2016年10月3日月曜日

ミンク・ホロウの世捨て人/トッド・ラングレン


トッド・ラングレンのアルバムは何枚か聴いた。一人多重録音の一人者という先入観からか、なんか冷たい曲が多いというはなはだ主観的な感想を持っていたけれど、1978年発表のこのアルバムはすごく心地よく、暖かく、かつ、恐らく玄人受けのするであろうすばらしい作品。
後に、ホール・アンド・オーツのプロデュースをこなし、最近ではホールとともに歌う姿をYoutubeで見ることができる。ここでのトッドは多重録音の人というよりシンガーそのものだ。