2016年12月5日月曜日

Slogan/オレスカバンド

slogan

オレスカバンド、6年ぶりの新作アルバムはサウンド面でも、個々のメンバーの技量も格段に底上げされたかっこいい仕上がり。若干のメンバーチェンジを経ているようだ。
このバンドを知った当時は、大和川沿いの月洲中学出身の女の子たちというだけで贔屓目に見ていたのだけど、ここまで大化けするとは思ってもみなかった。
当時はスカを中心にすえて、ギターはラウドパンクのスタイル。チャット・モンチーまがいのボーカルをのせていくスタイルだったのが、より柔軟にブラス・ロックしていて、ボーカルのiCasはいつの間にかきれいな裏声やチリメン・ビブラートを習得。歌ものとしての完成度を格段に上げている。
インタールード等のインスト曲を含めて捨て駒無しで迫る渾身の一作!

2016年11月14日月曜日

The Mad Hatter/Chick Corea


1978年のチック・コリアの作品。カテゴリーとしてはフュージョンに分類される。
リターン・トゥ・フォーエヴァーはそれなりに好きで聴いてはいたけど、プログレ・ファンの立場からか「これ以上はないだろうな」という稚拙な先入観からか、チック・コリアのその他の曲をあまり聴いては来なかった。・・・・・・それが間違いであったことを思い知らされたのがこのアルバム、The Mad Hatterである。
狂った帽子屋は不思議の国のアリスではあまりにも有名なキャラクターで、カリスマ・レーベルのロゴとして君臨しプログレファンにも非常になじみの深いおっさんであった。
そのおっさんの名を冠しアルバムジャケットにチック・コリア本人がコスプレをしてまで挑んだ本作は紛れもなくフュージョン・ミュージックの頂点だと思うし、どのジャンルのファンが聴いても美しい、わくわくすると感じるであろうボーダーレスな普遍性に満ちているアルバムだと思う。
このアルバム、チック・コリアにはファンタジー三部作というのがあって(今更知る私)、その3枚目に位置するらしい。
ひねくれたコードと半音多用のフレーズが気持ちよく絡む幻想的な曲を主軸にアルバムは進行していく。
途切れることなくスリリングに展開する黎明期のシンセサイザー、ザクザクのストリングス・アンサンブルに切れのよいブラス。幽玄な女性ボーカルにフルート。そして主役は文句なしのピアノ。
たっぷり時間をとって通しで聴くことをお勧めする一枚!!

2016年10月3日月曜日

ミンク・ホロウの世捨て人/トッド・ラングレン


トッド・ラングレンのアルバムは何枚か聴いた。一人多重録音の一人者という先入観からか、なんか冷たい曲が多いというはなはだ主観的な感想を持っていたけれど、1978年発表のこのアルバムはすごく心地よく、暖かく、かつ、恐らく玄人受けのするであろうすばらしい作品。
後に、ホール・アンド・オーツのプロデュースをこなし、最近ではホールとともに歌う姿をYoutubeで見ることができる。ここでのトッドは多重録音の人というよりシンガーそのものだ。

2016年9月4日日曜日

Get Together -LIVE IN TOKYO/矢野顕子×上原ひろみ



久々の日本橋オタロードでの中古CD店。実店舗でのお買い物は、矢野顕子と上原ひろみの一夜限りのピアノ・セッションを収録したライブ音源。そして久々の大当たり!
2011年発表の作品。

二台のピアノと矢野顕子の歌声のみ。かつて矢野顕子がパット・メセニーとコラボレーションしたときの風合いに少し似たものを感る。

すごくジャズであり、ライヒみたいなミニマル系の現代音楽に聴こえる瞬間もある。
あえて、ドラムもベースもいない状態で、いやだからこそ生まれるこのグルーブ感に圧倒される。

一曲目のChildren In The Summerは糸井重里の作詞。あらためて読み直すと、なかなかいい詩を書くなぁ。
そういえばこのChildren In The Summer、オリジナル版はMiniDiscで持ってたなぁ。いやこれがMiniDiscに録音したものということではなく、CDのように製品として売られていた再生専用MiniDiscで、恐らく大コケだった規格の製品で・・・・・・・、今ではプレミアがつくかも知れんというのはどうでもいい余談。

上原ひろみ、さすがすぎる。矢野顕子に少しも引けを取ってません。5曲目「学べよ」のスタッカートなベースライン。もはやピアノには聴こえないレベルのリズミカルさ。

ため息が出るほど音楽の滋養に満ちた一枚。
「滋養なんて、どこにあるんですか!」
「ここにあります!」

2016年6月22日水曜日

夜の囁き / フィル・コリンズ

フィル・コリンズのファースト・ソロアルバムは、聴き返してみると、何ともやりたい放題で、良い意味洗練されていないように感じのアルバムです。
ドラムマシンTR-808の出音も何となくざらついた感じで綺麗じゃないんです。 初期型のボコーダーも使われていたりします(ジェネシスのアルバムでは聴いたことありません)。
フィルのソロアルバムはこの作品から先、どんどんデジタル・リバーブやら、FMシンセのピアノの音を混ぜたりだとか、80年代に洗練された音になっていって、楽曲の良さも相まって、結果、多数のヒット曲を生むようになるんだけど、このアルバムでは古き良き70年代的な出音で、彼なりのプログレッシブ・ロックを模索しているように思えて好感が持てるのです。
 当然、EW&Fのホーン・セクションであるフェニックス・ホーンズも大活躍しているんですが、ブラスとおそらく相性の悪かろうビートルズのカバー曲、インド風の「トゥモロー・ネヴァー・ノウズ」でおそらくテープ逆再生をしていると思われるブラスを大胆にとりいれて、西海岸のホーン・セクションを、見事サイケデリックなインド風ロックにマッチさせてるのには思わずうなってしまいました。
 ピアノ主体のミニマル・ミュージックみたいなこともやっていますし、3人組ジェネシスのカバー曲「ビハインド・ザ・ラインズ」や、アバのフリーダに提供した本当に切ない感じのバラード曲「言葉はいらない」などフィル・コリンズのファンにはたまらない選曲で、甘ったるい80年代の象徴的なフィル・コリンズに辟易している人にもお勧めの一枚です。

2016年6月1日水曜日

UPOJENIE / PAT METHENY & ANNA MARIA JOPEK

ポーランドの歌姫アナ・マリア・ヨペックがパット・メセニーの楽曲にポーランド語詞を乗せて歌った作品。」というどこかのWeb情報にたどり着く前に、偶然有線放送のパット・メセニーの特番で「えっ?これ何?いつものパットやない!!」と、ものすごく耳についた曲"Przypływ, odpływ, oddech czasu..."を含む、結構音次郎的にもオールオッケーな一枚です。
この”Przypływ, odpływ, oddech czasu...”という曲、パットのファースト・ソロアルバムの中から”Tell Her You Saw Me”を大胆にアレンジしてポーランド語のささやくような歌を重ねた珠玉の名作だと思います。

全体としてジャズっぽさは控えめで、コンテンポラリーな音の仕上がり。
歌声は東欧なのに元々パット・メセニーに感じる南米的な香りが強く出ています。
名曲”Are You Going With Me?”もほんと格好良くアレンジされていて、そしてお約束のGR300も弾きまくり!ほんま「ついていきますっ!」って言ってしまいそうになります。

2016年2月24日水曜日

Exiles / David Cross


クリムゾン時代は、その圧倒的音量差からリズム隊の二人に置いてきぼりをくらっていたヴァイオリニスト、デヴィッド・クロスのソロアルバム。1997年作品。
ここでのクロス氏のプレイは、かつてない野太い音色でかつての力関係を感じさせない出来となっております。
私的には、ゲストのピーター・ハミルが自分のアルバムではほとんど詩の朗読に近いがっかりなパフォーマンスをすることがが多い中、クリムゾン近辺の連中とやるときはちゃんとロックせなあかんと思っているのか、往年を思わせる突き抜けたシャウトを聞かせてくれるのがうれしかったりするのです。
ウエットンのボーカルは多少衰えたもののクリムゾンのカバーであるExilesはやっぱり良かった。イントロが特に現代的にアレンジされていて、ヨナ抜き音階の宿命か、どことなく北島三郎的な香りが漂ってしまったのが残念ではありますが……。
ロバート・フリップとの共作の曲は、後のStarless Starlightを彷彿とさせて気持ち良い環境音楽に仕上がっていると思います。
個人的にはソプラノサックスの入るアレアばりの曲、Slippy Slideが好きです。

2016年1月21日木曜日

Nostalgia/Annie Lennox



吉川晃司だけがロマンス・グレーの代名詞ではない。
気が付けば、Annie Lennoxも還暦を過ぎた。

ユーリズミックス時代はテクノベースのトラックにやたら上手い歌を絡めてくるお姉さん的な認識しかなかった。だからユーリズミックスの作品のなかでもR&B寄りのものにはかつて違和感を持っていたのだけど、当時から彼女の中ではそのような楽曲こそが歌いたかったもので、テクノ・スタイルによる表現はさほど重要なものではなかったように感じられる。
ここで聞けるレパートリーはJAZZの古典といっていいラインナップ。還暦を過ぎてなお、いや還暦を過ぎたからこそのこの声量、艶、表現力。素晴らしすぎる。